2020〜2021 | マンチーニが蘇らせた青いアズーリの誇り
イタリア ユーロ2020制覇——「カルチョの復活」を告げた53年ぶりの歓喜
2018年W杯の出場権さえ逃し、「イタリアサッカーの凋落」と言われた時代から、わずか3年でロベルト・マンチーニ率いるアズーリは欧州王者に返り咲いた。ドンナルンマ、スピナッツォーラ、インシーニェ——新世代が紡いだユーロ2020制覇の物語は、諦めないことの価値を教えてくれる。
「最低の時代」からの再出発
2017年11月、イタリアはW杯欧州予選でスウェーデンに敗れ、2018年ロシアW杯の出場権を失った。60年ぶりの屈辱だった。メディアは「イタリアサッカーの死」と書き立て、ファンは悲嘆に暮れた。
この危機的状況の中で就任したのが、元マンチェスター・シティ監督のロベルト・マンチーニだった。彼が最初にやったことは、チームに「楽しんでサッカーをする」文化を取り戻すことだった。守備的なイタリアのイメージを覆し、ポゼッションとアグレッシブなプレスを基盤とした攻撃的なスタイルへと転換した。
2019年から始まったユーロ予選では全勝。2021年の本大会を前に、イタリアは27試合無敗という記録を積み重ねていた。
ユーロ2020——無敗での頂点
2021年夏(コロナ禍で1年延期)に開催されたユーロ2020で、イタリアはグループリーグから決勝まで全試合勝利(または延長・PK勝ち)という完璧な結果を残した。
キーマンはGKジャンルイジ・ドンナルンマ、左WBレオナルド・スピナッツォーラ(途中負傷退場)、MFニコロ・バレッラ、FWロレンツォ・インシーニェ。いずれも2017年の「死の大会」を生き延びた世代から育てられた選手たちだ。
準々決勝ベルギー戦、準決勝スペイン戦(PK戦)と難敵を撃破し、決勝はウェンブリーでイングランドと対戦。前半に先制されたが後半に追いつき、PK戦でイングランドを下して53年ぶりの欧州王者に輝いた。大会MVPはドンナルンマが受賞。
マンチーニの「哲学」と復活の教訓
マンチーニがイタリアに持ち込んだのは単なる戦術ではなく、「信頼」の文化だった。若手を積極的に起用し、ベテランとのバランスを保ちながら、チームに一体感を作り上げた。「どんな若手でも、良いプレーをすれば使う」というメッセージは、国内リーグの選手たちを鼓舞した。
この優勝は、「組織と哲学があれば復活できる」ということのサッカー史上最良の証明の一つだ。金も有名選手の大量補強もなく、ただ正しいコンセプトと時間で、チームは最強になれる。
2022年W杯の出場権を再び逃すという皮肉な結末もあったが、ユーロ2020制覇の輝きは失われない。青いシャツを纏ったアズーリが53年ぶりに欧州の頂点に立った夜は、諦めないことの価値を静かに、しかし力強く語り続けている。