2015〜2016 | サッカー史上最大のアップセット

レスターの奇跡——5000倍の下馬評を覆したラニエリとカンテの物語

2026年4月約7分

2015-16シーズン開幕前、レスター・シティのプレミアリーグ優勝オッズは5000倍だった。降格候補筆頭と見られたクラブが、シーズン終了時には本当に優勝杯を手にしていた。クラウディオ・ラニエリと、後に世界最高のMFとなるエンゴロ・カンテを擁した「奇跡のシーズン」の全貌。

誰も信じなかった——5000倍の下馬評

レスター・シティは2014-15シーズン、残り9試合で最下位だったにもかかわらず奇跡的な巻き返しで残留した。翌シーズンの開幕前、ブックメーカーは優勝オッズを5000倍と設定した。エルヴィス・プレスリーが生きている確率(1000倍)より低いと言われた。

監督のクラウディオ・ラニエリはチェルシーでの苦い経験(ロマン・アブラモビッチに解任)を持ち、「負け犬監督」のイメージがあった。選手のほとんどは他クラブが放出した選手か、ローン組。スター選手は一人もいなかった。

開幕戦でサンダーランドに4-2で勝利した時、多くのサッカーファンは「どうせ上位が来たら沈む」と思っていた。しかしレスターは沈まなかった。

カンテとヴァーディ——奇跡を作った二人

このシーズンのレスターを語るとき、二人の名前は欠かせない。エンゴロ・カンテとジェイミー・ヴァーディだ。

カンテは前シーズンに二部リーグのカーンから加入した無名のMFだった。しかしそのシーズン、彼の運動量とボール奪取の能力は世界中を驚かせた。「一人でいつも二人分走っている」と言われたカンテは、翌年チェルシーに引き抜かれ、以後世界最高のMFとして君臨することになる。

ヴァーディはシーズン途中に11試合連続ゴールというプレミア新記録を樹立。元工場労働者で、26歳まで非プロだったストライカーが、プレミアリーグの得点王に迫る活躍を見せた。この物語はイングランド中を熱狂させた。

タイトル確定の夜——サッカーが証明した「奇跡」

2016年5月2日、レスターのタイトルは確定した。2位チェルシーが3位トッテナムと引き分け、レスターの逃げ切りが決まった瞬間、選手たちは自宅やホテルでテレビを見ながら歓喜した。

レスターの選手たちが街でオープンバスパレードをした日、推定24万人がルートに詰めかけた。ラニエリは試合後のインタビューで、亡き母への思いを語りながら涙をこらえた。

2016年のレスターの優勝は、「お金がなくても、システムが機能すれば勝てる」というサッカーの本質を示した。カンテの運動量、ヴァーディのスピード、ラニエリの信頼——三つの要素が揃った1シーズンは、永遠にサッカーファンの心に残り続ける。