2013〜2014 | ラモスのヘッドが生んだ延長の奇跡
「ラ・デシマ」——12年越しの悲願、マドリードの10度目の戴冠
2002年以来、レアル・マドリードはCLのタイトルから遠ざかっていた。その12年間の渇望が、2014年5月24日のリスボンで一気に解消された。終了直前のセルヒオ・ラモスのヘディングゴール、そして延長戦での3ゴール——「デシマ(10度目)」を手にした夜の物語。
12年間の飢え——「デシマ」への執念
2002年のCL制覇以後、マドリードはCLで何度も準決勝・準々決勝で敗退した。ガラクティコス時代の豪華な顔ぶれでも、モウリーニョ時代の組織的なサッカーでも、CLのタイトルだけは手が届かなかった。
「デシマ(10度目のCL制覇)」はマドリードのサポーターにとって至上命題だった。毎シーズン開幕前に「今年こそデシマを」という声が上がり、敗退するたびに失望が深まった。この12年間の積み重なった感情が、2013-14シーズンへの異常な熱量を生んでいた。
指揮官はカルロ・アンチェロッティ。ロナウド(CR7)、ベンゼマ、ディ・マリア、モドリッチ、クロース(途中加入)という豪華な顔ぶれを率いてCLに挑んだ。
ラモスのヘッドと「89分の奇跡」
決勝の相手はアトレティコ・マドリード——同じ街のライバルとの「マドリードダービー決勝」という特別な舞台だった。前半36分にアトレティコが先制し、マドリードは90分間追いかけ続けた。
後半45分+3分、あと数十秒でアトレティコの優勝が決まるという瞬間。コーナーキックからセルヒオ・ラモスがヘディングで同点ゴールを叩き込んだ。ベンフィカ・スタジアムのマドリードサポーターが一斉に絶叫した瞬間は、CL史上最も劇的な場面の一つとして今も語り継がれる。
ラモスは後に「あの瞬間、スタジアムが爆発するような音がした。信じられない感覚だった」と語っている。12年間の渇望が、1本のヘッドに凝縮されていた。
延長3ゴールと「デシマ」の達成
延長戦に入ったマドリードは別のチームに変わった。疲弊したアトレティコを尻目に、ガレス・ベイルが先制し、マルセロ、ロナウドと続いて4-1。アトレティコは完全に崩れた。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、ロナウドは号泣した。アンチェロッティは抱擁を繰り返した。スタンドで見ていたマドリードのOBたちも、12年間抑えてきた感情を解放した。
「デシマ」は単なる数字ではなかった。マドリードという特別なクラブが、どれほどこのタイトルに特別な意味を込めてきたかの証明だった。以後2016・2017・2018年とCLを連覇したマドリードだが、「デシマ」の重みはそれらとは別の次元にある。12年待った者だけが知る、あの夜の感情の記憶として。