2011〜2021 | マンCの歴史を変えた一撃とアルゼンチンの至宝
セルヒオ・アグエロ——「アグエロォォォ!」と叫ばれた93:20のゴール
2012年5月13日、プレミアリーグ最終節残り20秒。マンチェスター・シティのセルヒオ・アグエロが叩き込んだゴールは、44年ぶりのプレミア制覇をシティにもたらした。実況の「アグエロォォォ!」という絶叫は、スポーツ史上最も有名な実況の一つとして今も世界中で流れ続けている。
ブエノスアイレスからマンチェスターへ
セルヒオ・アグエロは1988年、アルゼンチンのブエノスアイレス近郊に生まれた。15歳でインデペンディエンテのトップチームデビューという南米記録を打ち立て、2006年にアトレティコ・マドリードへ移籍。スペインでも即座に才能を示し、2011年にマンチェスター・シティへ移籍した。
当時のシティはアブラモビッチのチェルシーに触発されたように、アラブ資本の投資を受けて急成長していた。アグエロは6000万ユーロという移籍金で加入し、シティが「真剣にトップを目指している」ことを証明する象徴的な補強だった。
小柄(173cm)でありながら、相手の体に当たっても倒れない低重心、両足から放たれる正確なシュート、そして抜け出しのタイミングの良さ——アグエロはプレミアリーグに最高の形で適応した。
93:20——プレミア史上最も劇的なゴール
2011-12シーズン最終節、シティはホームでQPRと対戦。マンチェスター・ユナイテッドと勝ち点で並んでおり、シティが勝てば得失点差で44年ぶりのプレミア制覇が決まるという場面だった。
しかし前半にQPRに先制を許し、後半もリードを奪えないまま、後半45+2分時点でまだ1点差。スタジアムがどんより沈む中、エクアドル生まれのアルゼンチン人MFハビエル・マスチェラーノがPKを獲得。テべスが同点に追いついた。
そして93分20秒。マリオ・バロテッリのヘッドが落ちたところをアグエロが右足で叩き込んだ。実況のマーティン・タイラーが「アグエロォォォ!」と絶叫した瞬間、エティハド・スタジアムは地鳴りのような歓声に包まれた。このゴールは後に「プレミアリーグ史上最高のゴール」に選ばれることになる。
シティとアグエロの10年間
アグエロはシティで10シーズンをプレーし、プレミア5回制覇、FA杯1回、リーグカップ6回などのタイトルに貢献した。通算184ゴールはシティの歴代最多得点記録だ。
ペップ・グアルディオラとの関係は複雑で、9番という「純粋なFW」をシステムに組み込みにくいグアルディオラがアグエロを控えに回す場面も多かった。しかしアグエロは出場するたびにゴールを決める「スーパーサブ」としてもチームに貢献した。
2021年、契約満了でシティを去ったアグエロはバルセロナへ移籍したが、心臓の不整脈が判明し現役引退を余儀なくされた。引退会見での涙は、まだプレーできると信じていた男が運命に打ち負かされた悲しみを映していた。しかし93:20のゴールは永遠に消えない——あの瞬間、アグエロはプレミアリーグの歴史を変えた。