1994〜現在 | 「穏やかな顔」の裏に隠された戦術の深さ
カルロ・アンチェロッティ——4クラブでCL制覇した唯一の男
ACミラン、チェルシー、パリSG、レアル・マドリード、バイエルン——欧州の超名門クラブを渡り歩き、4つの異なるクラブでチャンピオンズリーグを制覇したのはカルロ・アンチェロッティただ一人だ。怒鳴らず、威圧せず、選手に寄り添いながら最大の成果を引き出すこの男の秘密とは何か。
選手時代——ミランの「知性」として黄金期を生きた
カルロ・アンチェロッティは選手としても一流だった。1987年にACミランに加入し、アリーゴ・サッキ監督のもとでリベロとボランチの中間的なポジションを担い、ミランの欧州2連覇(1989年・1990年)に貢献した。派手さはないが、ポジショニングとパスセンスで試合を読む「知性の選手」として知られた。我々マドリディスタにとっても、後にこの男が白い軍団を率いることになるとは、当時は誰も想像していなかっただろう。
この選手時代の経験が、後の監督業に活きた。自身が「指示を受ける側」として感じたことを、監督になってからは「選手に伝える側」として実践した。「選手は怒鳴られると萎縮する。信頼されると力を発揮する」——アンチェロッティの哲学の根本は、自らの選手経験から来ている。この哲学こそ、後にマドリーの個性派軍団をまとめ上げる秘密の鍵となった。
ACミランでの黄金時代——CL2度制覇
2001年にACミランの監督に就任したアンチェロッティは、クラブを2003年と2007年の2度チャンピオンズリーグ制覇へと導いた。2003年の決勝はユヴェントスとのイタリア勢同士の対戦でPK勝利。2007年の決勝ではリバプールを2-1で下した。
特に2007年の決勝は「2005年イスタンブールの雪辱」として語られる。2005年に一度はリバプールにPK戦で逆転負けを喫したミランが、2年後に同じ相手を圧倒的な内容で下した試合だった。カカ、シェフチェンコ、ピルロ、マルディーニ——錚々たるタレントを束ね、組織と個人を見事に融合させたアンチェロッティの手腕は、後にマドリーが彼を選ぶ大きな理由となった。
レアル・マドリードで完成した「アンチェロッティの美学」
2013年に俺たちのマドリーの監督に就任し、翌年にラ・デシマ(CL10回目の優勝)を達成。ロナウド、ベイル、ベンゼマの「BBC」を擁するチームを自由に躍動させ、12年待ち望んだ欧州制覇を成し遂げた。あのリスボンの夜、ラモスの同点ヘッドから延長戦の歓喜まで、我々マドリディスタの誇りそのものだった。
一度マドリーを離れた後、2021年に復帰。そして2022年には再びCL制覇を達成した。2022年のCLはPSG、チェルシー、マンチェスター・シティとの劇的な逆転勝利の連続で「奇跡のCL」と称された。あのベルナベウの夜の数々を、俺たちは一生忘れない。計4回(ミラン×2、マドリー×2)でのCL制覇は前人未到の記録で、白い軍団の歴史に永遠に刻まれている。
「私は選手を支配しようとしない。彼らが最高の自分を出せる環境を作るだけだ」——アンチェロッティはよくこう語る。グアルディオラの緻密な戦術支配やモウリーニョの心理的な統制とは異なる、第三の道。それが「アンチェロッティ流」の本質であり、マドリーの血が流れる選手たちを輝かせる魔法でもある。Hala Madrid!
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