2018年ロシア | 19歳の怪物が変えたW杯の景色
フランス2018年W杯——エムバペ世代が告げた「新時代」の幕開け
2018年7月15日、モスクワのルジニキ・スタジアム。フランスはクロアチアを4-2で下し、20年ぶり2度目のW杯優勝を果たした。19歳のキリアン・エムバペが2ゴールを決めたこの大会は、「次世代の王者」の登場を世界に告げる舞台となった。
デシャン監督の「組織と個」の融合
ディディエ・デシャン監督のフランスは、1998年優勝チームのキャプテンだった指揮官が作り上げた「守備から入る現実主義」のチームだった。エムバペ、グリーズマン、ジルーという前線の多様性、カンテとポグバの中盤、ヴァラン・ウンティティのCBコンビ——各ポジションに世界最高クラスの選手を揃えながら、組織を優先した。
グループリーグは低調だったが、決勝トーナメントでの強さは圧倒的だった。準々決勝ウルグアイ戦、準決勝ベルギー戦——いずれも相手の長所を消しながら自分たちの強みを発揮した。「美しくないが強い」というフランスの姿は、ジダン時代のチームとは異なるが、結果という点では同等だった。
エムバペの19歳——「ペレ以来」の衝撃
キリアン・エムバペは大会を通じて4ゴールを記録し、19歳以下の選手によるW杯決勝のゴールとして1958年のペレ以来の快挙となった。そのスピードと技術は、当時の選手たちを「次元が違う」と感じさせた。
準々決勝のアルゼンチン戦でメッシと直接対決し、エムバペの2ゴールでフランスが逆転勝利。この「新旧の交代」を象徴する試合は、世界中のサッカーファンに衝撃を与えた。「メッシvsエムバペ」という構図は、この試合から始まり2022年の決勝で最高潮を迎えることになる。
フランスの優勝は「多様性の勝利」とも評された。エムバペ(カメルーン・アルジェリア系)、ポグバ(ギニア系)、カンテ(マリ系)——1998年のフランスと同様、移民2世・3世の選手たちがチームを支えた。フランス代表の強さはその多様性から来ている、という1998年から変わらない真実を示した大会だった。
クロアチアの準優勝——心を動かした敗者
決勝のクロアチアは前の試合からの疲労を抱えながら、それでも最後まで戦い続けた。人口400万の小国が決勝まで進んだことは奇跡であり、モドリッチ率いるチームへの称賛はフランスの優勝と同じくらい大きかった。
「勝者だけが歴史を作るわけではない」——クロアチアの2018年は、サッカーにおいて「美しい敗者」という概念がいかに強く人の心を動かすかを証明した大会として語り継がれている。