1999〜2015 | スペインと世界を制した守護神

イケル・カシージャス——「セント・イケル」が守り続けた20年間

2025年4月約7分

世界一のGKを一人選べと言われれば、多くの専門家がイケル・カシージャスの名を挙げる。レアル・マドリードのゴールを16年間守り続け、スペイン代表でW杯・欧州選手権の計3冠を達成。「セント・イケル」と呼ばれた聖人の物語。

16歳でデビュー、18歳でCL優勝

イケル・カシージャスがレアル・マドリードのトップチームデビューを果たしたのは1999年、わずか16歳の時だった。翌2000年にはCLで優勝を経験し、わずか18歳でヨーロッパの頂点に立った。その後彼は、2015年に退団するまでの16年間、ベルナベウのゴールを守り続けた。

若い頃からカリスマ性を放っていたカシージャスは、「エル・サント(聖人)」と呼ばれた。ピッチ上での冷静さ、ビッグセーブの連発、そしてチームが苦しい時こそ輝きを増す精神力——これらすべてが、彼を単なるGK以上の「守護神」として選手・ファンに認識させた。

2010年W杯決勝——スペインを世界一に導いたセーブ

2010年南アフリカW杯決勝、スペイン対オランダ。延長戦までもつれた試合で、カシージャスは幾度となくオランダの猛攻を弾き返した。ロッベンの一対一、スナイデルのシュート——いずれも決定的な場面で彼は立ちはだかり、最終的にスペインが初のW杯優勝を果たした。

試合後、カシージャスは恋人のサラ・カルボネロ(テレビレポーター)に生中継でキスをする場面が世界に流れ、スポーツ史上最も有名な「中継中の瞬間」の一つとなった。しかしその華やかな場面の裏に、120分間の完璧な守備があったことを忘れてはならない。

カシージャスはこのW杯でゴールデングローブ(最優秀GK賞)を受賞した。スペインはさらに2008年、2012年と欧州選手権を制覇し、カシージャスの在任中に史上最強と称された黄金時代を築き上げた。

モウリーニョとの確執——最も辛かった時代

カシージャスのキャリアで最も苦しかった時期は、モウリーニョがマドリードの監督を務めた2010〜2013年だ。モウリーニョはカシージャスのコーチング能力や声掛けを問題視し、しばしばロペス・ヘスソをスターターに起用した。長年「絶対的守護神」だった男がベンチを温めるという、ファンには信じられない光景が続いた。

この期間、カシージャスは表情を崩さず黙々と練習し、求められた試合に全力を尽くし続けた。その姿勢が「セント・イケル」という称号の本質を表していた。2013年にモウリーニョが去ると、カシージャスは再び守護神に返り咲いた。

心臓発作を乗り越えて——引退後も続く伝説

2015年にポルトへ移籍したカシージャスは、2019年に心臓発作を起こし選手生命の危機に立たされた。しかし彼は奇跡の回復を見せ、現役続行への意志を表明した。最終的に2020年に引退を発表したが、その経緯はスポーツ界全体を感動させた。

引退後はスペインサッカー連盟での活動など、サッカー界への貢献を続けている。マドリードのレジェンドたちが口を揃えて言う——「カシージャスがいなければ、あれほどの黄金時代はなかった」。ゴール前に立つ守護神の価値は、その不在によってこそ証明される。