2003〜2009 | 21世紀最高の10番が体現した美しさと速さ
カカ——ACミランで輝いた「神に捧げる」バロンドール
2007年、リカルド・カカはバロンドールを受賞した。メッシとロナウドが台頭する直前、最後の「第三の男」として世界最高の称号を得た彼のプレーは、スピード、技術、そして信仰心が融合した唯一無二の美しさを持っていた。ACミランでの黄金時代と、早すぎた衰えの物語。
ブラジルからミラノへ——10番の覚醒
リカルド・カカは1982年、ブラジルのガマに生まれた。サンパウロで頭角を現し、2003年に21歳でACミランへ移籍。当時のミランはアンチェロッティ監督のもと、シェフチェンコ、インザーギ、ピルロらが揃う強豪だった。
カカが担ったのはトップ下の「10番」。身長186cmの長身でありながら、ドリブルのスピードと精度は小柄な選手を凌駕していた。左足からのシュートとスルーパスは芸術的な精度を誇り、広大なスペースを見つける目は当時のサッカー界で最も鋭いと言われた。
「プレーしている時、私は神とともにある」——カカの言葉は信仰の告白であると同時に、ピッチ上での感覚を表していた。彼のプレーには確かに、人間の限界を超えたような輝きがあった。
2007年——バロンドールへの道
2006-07シーズン、カカはCLで驚異的なパフォーマンスを見せた。準々決勝バイエルン戦では1試合で2ゴール2アシスト、準決勝マンチェスター・ユナイテッド戦では第1レグでハットトリックに近い活躍でミランを決勝へ導いた。
特にユナイテッド戦での第1レグ(3-2でミラン勝利)はカカの試合と言っていい内容だった。クリスティアーノ・ロナウドやウェイン・ルーニーがいるユナイテッドを相手に、カカは一人でゲームを決めた。
決勝でリバプールを2-1で下してCLを制覇したミランの中で、カカは「MVP」の称号を得た。同年のバロンドールはカカが受賞。メッシとロナウドが急速に台頭しつつある時代に、最後の「別の顔」としてサッカー界の頂点に立った。
レアル・マドリードへの移籍と「失われた時間」
2009年、カカはレアル・マドリードへ約6500万ユーロで移籍した。C・ロナウドとともに加入したこの夏は「ガラクティコス第3期」と呼ばれる。しかし膝の怪我が続き、カカはマドリードで本来の輝きを取り戻すことができなかった。
全盛期の爆発的スピードが戻らないまま数シーズンを過ごし、2013年にミランへ復帰。その後トロントFC、オーランド・シティでのMLS挑戦を経て2017年に引退した。
27〜28歳で全盛期を迎えながら怪我により失われた数年間——もし健康だったなら、カカはさらに多くのバロンドールを手にしていたかもしれない。ミランでの5年間が輝きすぎたがゆえに、その後の時間がより惜しまれる。彼が体現した「10番の美学」は、今もサッカーファンの心に残り続けている。