2012〜現在 | クロアチアの宝石がマドリードにもたらしたもの

ルカ・モドリッチ——「普通ではない」職人がバロンドールを制した日

2025年3月約7分

2018年、ルカ・モドリッチはクリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシが10年以上独占してきたバロンドールを奪取した。172cmのクロアチア人が示した「サッカーの本質」とは何か。レアル・マドリードの黄金期を支えた職人の物語。

「小さすぎる」と言われ続けた少年

ルカ・モドリッチは1985年、クロアチアの小さな村に生まれた。幼少期、彼を取り巻く環境は過酷だった。ユーゴスラビア内戦の混乱の中で祖父を失い、家族で避難生活を送った。サッカーを始めた頃から「体が小さすぎる」「フィジカルが足りない」と言われ続けた。

それでもモドリッチは諦めなかった。技術と知性を磨き続け、ディナモ・ザグレブのアカデミーで頭角を現した。2008年にトッテナムへ移籍した際も、「プレミアリーグには向かない」という懐疑論があった。しかし4シーズン後、レアル・マドリードが3500万ユーロという当時のトッテナム史上最高移籍金を支払って彼を獲得した。

「見えない貢献」——スタッツに表れない圧倒的な価値

モドリッチの偉大さは、数字では語りにくい。ゴール数やアシスト数では、クリスティアーノ・ロナウドやベンゼマには遠く及ばない。しかしチームの機能を根本から支える「中盤の秩序」は、モドリッチなしには存在し得なかった。

彼の特徴は圧倒的なボール奪取率、正確無比なパス分配、そして攻守の切り替えの速さだ。1試合平均11〜12km走り続けながら、技術の精度が落ちない。「消えているように見えて、実はゲームのすべてを制御している」と評されるプレースタイルは、サッカーの本質を理解した者にだけわかる高度な美しさだ。

シャビ・エルナンデスはモドリッチについてこう語った。「彼はゲームを読む力が世界一だと思う。どこにスペースがあり、誰がフリーで、次に何が起きるか——彼のアタマの中は常に3手先を読んでいる」。

2018年バロンドール——10年の壁を崩した瞬間

2018年ワールドカップ、モドリッチはクロアチアを32年ぶりの決勝進出に導き、大会最優秀選手賞を受賞した。同年にはレアル・マドリードでCLを制覇(3連覇の最後の年)。この2つの業績が評価され、彼は10年以上ロナウドとメッシが独占してきたバロンドールを受賞した。

授賞式でモドリッチは言った。「幼い頃、祖父を戦争で失った。家族が安全な場所を探し続けた。あの時の自分に「おまえはいつかバロンドールを獲る」と言っても、信じなかっただろう。しかし信じ続けること、諦めないことが、ここまで連れてきてくれた」。会場は静まり返り、その後大きな拍手が沸き起こった。

38歳でもベルナベウに立ち続ける理由

2024-25シーズン、モドリッチは38歳を超えてもなおレアル・マドリードのロスターに名を連ねている。出場時間は減ったが、練習場での姿勢、若手選手への影響力、勝負どころでの登場——その存在価値はプレー時間だけでは測れない。

ヴィニシウスはインタビューでこう語った。「ルカから学んだことは技術だけじゃない。サッカーへの向き合い方、プロフェッショナリズム、そして謙虚さ。あの姿勢を見ていれば、若い選手たちが成長しないわけがない」。

172cmの職人が証明したこと——それは「サッカーはフィジカルではなく、知性で行うスポーツである」という普遍の真理だ。モドリッチの名は、レアル・マドリードの歴史に永遠に刻まれる。