プレミアリーグはリーガの5倍の移籍投資──コロナ禍を境に広がった経済格差
スペイン紙『El País』が伝えた。
4シーズン前まで3部リーグで戦っていたプレミアリーグの昇格クラブ、イプスウィッチ・タウンが今夏の移籍市場で費やした金額は2億ユーロ超。リーガのクラブ17チーム(マドリー・バルセロナ・アトレティコを除く全クラブ)の合計と変わらない規模だ。この一例が、サッカー産業のお金がどこにあるかを如実に示している。火曜深夜に閉幕した今夏の移籍市場でも、その構図は変わらなかった。英仏海峡の向こう側の購買力は圧倒的で、スペインで3桁台の移籍金を動かせるのはビッグ3だけという現実はもはや変わらない。
✅ リーグ別投資額(Transfermarkt調べ)
| リーグ | 投資額(百万ユーロ) |
|---|---|
| プレミアリーグ | 3,935 |
| セリエA | 1,160 |
| ブンデスリーガ | 782 |
| リーガ・エスパニョーラ | 743 |
| リーグ・アン | 600 |
| チャンピオンシップ(イングランド2部) | 435 |
プレミアリーグが今夏費やした約39億ユーロはセリエAの3倍以上、リーガとブンデスリーガの5倍にあたる。6位にはチャンピオンシップ(イングランド2部)の4億3500万ユーロが入り、スペインとドイツの1部リーグより少ないが僅差だ。
✅ 投資額上位10クラブ
| クラブ | 投資額(百万ユーロ) |
|---|---|
| マンチェスター・シティ | 526 |
| チェルシー | 407 |
| トッテナム | 355 |
| ニューカッスル | 313 |
| アストン・ヴィラ | 300 |
| リヴァプール | 265 |
| アーセナル | 227 |
| レアル・マドリー | 225 |
| イプスウィッチ・タウン | 201 |
| バルセロナ | 184 |
上位10クラブのうち8クラブがイングランド勢で、スペインからはマドリー(8位、2億2500万ユーロ)とバルセロナ(10位、1億8400万ユーロ)のみ。スペイン勢として最上位のマドリーより上に並ぶのは、シティ(5億2600万ユーロ)、チェルシー(4億700万ユーロ)、トッテナム(3億5500万ユーロ)、ニューカッスルとアストン・ヴィラ(いずれも3億ユーロ超)、リヴァプール(2億6500万ユーロ)、アーセナル(約2億2700万ユーロ)だ。
なお、チェルシーとトッテナムは今シーズン欧州の大会への出場権を持っていない。それでも大型補強を断行した。シャビ・アロンソ監督率いるチェルシーはMFモーガン・ロジャーズ(1億3800万ユーロ)を獲得。トッテナムは前シーズン17位という苦境から再出発すべく、サンドロ・トナーリ(1億800万ユーロ)、マテウス・フェルナンデス(9900万ユーロ)、サヴィーニョ(8700万ユーロ)を補強した。
✅ 最高額移籍と各国の差
今夏の最高額移籍はすべてイングランド絡みだ。エンソ・フェルナンデス(シティ、1億4500万ユーロ)、モーガン・ロジャーズ(チェルシー、1億3800万ユーロ)、エリオット・アンダーソン(シティ、1億3500万ユーロ)、ブラッドリー・バルコラ(リヴァプール、1億2500万ユーロ)。スペインでこの水準に達したのはマドリーのヤン・ディオマンデ(1億2500万ユーロ、ボーナス込みで最大1億4500万ユーロ)のみで、リーガで唯一の3桁台移籍となった。バルセロナのアンソニー・ゴードン(8000万ユーロ)とロドリ(6000万+1500万ユーロ)、マドリーのマルク・ククレジャ(5500万ユーロ)がそれに続く。
✅ コロナ禍が生んだ「2019年以前」との断絶
リーガとプレミアの差は今に始まったことではないが、コロナ禍が決定的な分岐点を作った。コロナ前最後の夏(2019-20シーズン開幕前)、リーガの投資額は14億ユーロでプレミアの15億5000万ユーロとほぼ拮抗していた。それがいまや5倍の差だ。プレミアは感染症の経済的打撃をものともせず投資額を倍増以上に伸ばした一方、リーガは半減。ブンデスリーガは2019年水準に戻り、セリエAは13億から11億と小幅な減少にとどまり、リーグ・アンも大きくは落ちていない。5大リーグの中でリーガの下落幅が突出して大きい。
マドリー・バルサ・アトレティコの3クラブがリーガ全体の移籍支出の4分の3を占めており、4番目に多く投資したベティス(CLに出場)でさえ約3050万ユーロ。プレミア最下位に近いクリスタル・パレス(6000万ユーロ超)の半分にも届かない。イングランド2部の3クラブ(ミドルズブラ、ウェスト・ハム、バーンリー)でも4000万ユーロを超えており、CLに参加するビジャレアルはリーガ5番目の投資規模ながら2000万ユーロにも届かない水準だ。