モウリーニョの最大の敵はバルサではなく時間だ
スペイン紙『El País』で、元マドリーの選手でありGMも務めたホルヘ・バルダーノ氏が、コラム「El Juego Infinito」でモウリーニョ監督の現在地を論じた。同氏は、マドリー第2次政権でのモウリーニョ監督の最大の敵はバルサではなく「時間」だと指摘している。
✅ 「モウリーニョ主義」の預言者
同氏はまず、「モウリーニョ主義には預言者がいる。ジョゼ・モウリーニョだ」と書き出す。 そして預言者には、信者から「自分たちが作り上げたイメージどおりであれ」と求められるという厄介さがあると指摘する。
✅ フリックは「敵役」にならない
舞台も変わった、と同氏は言う。バルサのハンジ・フリック監督は、対立を芝居に仕立てる相手としては物足りない。リングに上がる姿が想像しにくいからだ。 毎月のように「今月の敵」になり得たグアルディオラとは違う。対戦相手がいなければ、モウリーニョ監督は、しかも別の時代の芝居を一人で演じることになりかねないという。
✅ 穏やかに戻ってきたが……
迫害されていると感じているマドリーにとって、ここ40年で最も人をかき立てるリーダーであるモウリーニョ監督は好都合な存在だ、と同氏は認める。 モウリーニョ監督はチームを率いるだけでなく、ムードを操り、ロッカールームを守り、敵を作り出し、記者会見を試合の延長戦に変えてきた。 今回はより穏やかに、世界と和解したかのように戻ってきた。アセンシオを教育し、ヴィニシウスをなだめ、かつて侮辱したペジェグリーニに謝罪する。長年他人を変えようとしてきた男が、自分自身を変えようとしているように見えた。
✅ 審判は「イカ墨」
しかし、「モウリーニョ主義」は穏やかなモウリーニョを受け入れはしても、愛しているのは要求が厳しく好戦的なモウリーニョだ。怠け者を働かせ、審判を見逃さず、クラブの代弁者になることを求める。 最初の本格的な逆境で、再び審判の話が持ち出され、聞き覚えのある音楽が流れた。「あまりにも聞き覚えがある」と同氏は書く。 「審判はいつもイカ墨だ。本当に見るべきものから目をそらさせる」。実際には、マドリーはボールがないときのプレスが足りず、ボールを持てば組み立てに苦労している、と指摘する。
✅ 変わったのはサッカーそのもの
同氏が最も興味深いとするのは、すべてが変わったことだ。 選手は代理人、広報アドバイザー、個人ブランド、そして誰の許可もなく語りかけられる数百万人のフォロワーを持ち、以前より力を持っている。記者会見はもう物語を独占していない。「モウリーニョは、監督が会話の主導権を握っていた時代の名人だった。今、会話はあらゆる場所で起きている」 ピッチの上でも、チームはよりコンパクトに動き、多くの人数で攻守を行い、考える時間を与えない。才能が勝負を決めることに変わりはないが、組織的な助けにますます依存している。一部の局面にしか関わらない選手にも、1つの考えに固執する監督にも、寛容ではないサッカーになったという。 今回も並外れたスカッドを手にしたが、以前よりバランスが悪いとも指摘している。
✅ ペレス会長の見方
ここ10年でモウリーニョ監督が獲得した主要タイトルは、マンチェスター・ユナイテッドでのヨーロッパリーグと、ローマでのカンファレンスリーグ。勝つために生まれた男としては控えめな成績だ。 しかしフロレンティーノ・ペレス会長にとっては、モウリーニョ監督は「間接的にも勝つ」存在だという。ジダンとアンチェロッティのもとでのCL制覇は、モウリーニョ監督が植え付けた精神的な推進力によるものだと考えているからだ。 検証のしようがないので反対の意見と同じ重みしかないが、この起用を理解する助けにはなる、と同氏は書く。
✅ 本当の挑戦
「モウリーニョは、まだ戦うエネルギーがあることを証明する必要はない。それは誰もが知っている。本当の挑戦は、もはや同じではないサッカーで勝てることを証明することだ」と、同氏はコラムを締めくくっている。
※本記事は、El PaísのJorge Valdano氏のコラム(意見記事)の内容を紹介したものです。
