The Athletic2026年9月10日 00:48

セウタ移民危機がマドリーとW杯共催に波及──スペインサッカー界を揺るがす政治的余波

英紙『The Athletic』ダーモット・コリガン記者が伝えた。

スペインの飛び地セウタは7月30日・31日の2日間で約7万人のモロッコからの移民が越境し、141人が命を落とした人道的危機から立ち直りの途上にある。その波紋はスペインのサッカー界にも広がっている。

✅ 危機の概要

サンチェス首相によると、北アフリカのスペイン領土セウタへの越境で141人が死亡。越境者の約9割は72時間以内にモロッコへ戻ったが、約5,000人が人口約83,000人の都市に留まっており、推定1,200人の未成年を含む移民への食料・住居・医療の提供が続いている。

政治的にはスペインとモロッコ両政府が密輸業者による偽情報キャンペーンを原因として挙げる一方、野党の国民党と極右ボックスはサンチェス政権の移民政策が招いた事態だと批判している。左派連立パートナーのスマルは、モロッコ・ポルトガルとの2030年W杯共催をスペインサッカー協会が拒否するよう求めた。

さらにモロッコの法務大臣がセウタとメリリャの帰属をめぐる交渉を求め、モロッコの強豪マグレブ・フェズのサポーターはアフリカCLの試合でセウタとメリリャを「一つの祖国、モロッコ」と記した横断幕を掲げた。

✅ ラ・リーガの試合でスペイン国歌

先週金曜、ベティス対マドリーの試合ではピッチにセウタの白黒旗とスペインの赤黄旗が掲げられ、サポーターはスペイン国歌を合唱した。ラ・リーガの試合で国歌が流れるのは異例のことで、66,046人がスタジアムを埋め尽くす中、サンチェス首相への批判の声も上がった。

試合当日、スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督は7月のW杯優勝トロフィーを持参してセウタを訪問し「スペイン全体の支援と連帯を持ってここに来た」と語った。

✅ ベルナベウでもセウタの旗──マドリーは「禁止していない」と声明

インテル戦の前、一部のマドリーサポーターがスタジアムへのスペイン旗・セウタ旗の持参を呼びかけた。マドリーは月曜日に「SNSと一部メディアが報じた、スペイン旗やセウタ旗を禁止したというのは全くの事実無根」と声明を発表。モロッコ出身でフロレンティーノ・ペレス会長の側近とされるアナス・ラグラリが禁止の黒幕だとする噂も飛び交っていた。

インテル戦当日、スタジアム外でセウタ旗が配布され、南スタンドのサポーターブロックが一斉に掲げた。

✅ ADセウタ──4連敗で最下位

渦中の当事者であるADセウタ(スペイン2部)は、このような状況下でシーズンを戦っている。ホセ・フアン・ロメロ監督は8月の記者会見で「この状況でサッカーをやるべきではない。セウタ以外の人々はこの深刻さをわかっていない。他のスペインの都市で起きていれば、もっと大きく早い対応があったはずだ」と語った。

クラブ会長のルハイ・ハミドは「セウタはスペインのものだということを示すもう一つの方法だ」としながらも「移籍市場での補強がより困難だった」と状況の影響を認めた。チームは開幕4連敗で最下位に沈んでいる。

それでも「世界中の他のどの都市でも爆発していた。でもセウタの人々は強く、団結していて、狭い空間で4つの文化が共存するモデルだ。困難だが、強い民族だから乗り越える」とアミドは語った。

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