カンテラ売却2億1000万ユーロの立役者──マドリーを変えた男
スペイン紙『MARCA』が伝えた。
マヌエル・アンヘルのフラム移籍(移籍金400万ユーロ、マドリーへの取り分200万ユーロ)とチェマ・アンドレスのブライトン移籍(シュトゥットガルトから2300万ユーロ、マドリーへの取り分1150万ユーロ)をもって、ラ・ファブリカは史上最大の移籍市場を締め括った。今夏のカンテラ出身選手の売却益は合計2億1000万ユーロ。モウリーニョ政権の補強費(ディオマンデ、ククレジャ、エスピ、ダンフリース)とカスティージャの2つの補強(オスカー・ナーセイ、セルヒオ・マルティネス)をほぼ賄う額だ。
この偉業には名前がある。マヌ・フェルナンデス、通称「マヌ」。バルデベバスでそう呼ばれるこの男こそ、マドリーのカンテラを統括するラ・ファブリカの責任者であり、前例のない移籍市場の立役者だ。
✅ カンテラが夏を制した
今シーズンのトップチームからの放出はゴンサロとフラン・ガルシアの2人のみ。一方でラ・ファブリカは大型売却を次々と成立させた。パラシオス、ハコボ・オルテガ、バルデペーニャス、マヌエル・アンヘルらバルデベバス所属選手に加え、すでにクラブを離れていながらマドリーが権利を保有していたニコ・パス、ビクトル・ムニョス、マリオ・マルティン、アルバロ・ロドリゲス、マリオ・ヒラ、チェマ・アンドレスらも高額で売却した。2億4000万ユーロの補強費に対して2億1000万ユーロを稼ぎ出した計算だ。
経済的な成果だけではない。UEFAユースリーグ制覇、3つのフベニール部門でのリーグ三冠、カスティージャの昇格プレーオフ進出とプレミアリーグ・インターナショナルカップ決勝進出。スポーツ面での成功が選手の市場価値を押し上げ、欧州全体からバルデベバスへの注目を集めた。
✅ フロレンティーノの大きな賭け
2020年6月4日、クラブは「マヌエル・フェルナンデスがカンテラの統括責任者に就任し、スカウト部門、テクニカル部門、管理部門、トレーニング方法論部門を指揮する」と発表した。フロレンティーノ・ペレスがマネーパワーで欧州を制するシティやPSGに対抗するためにカンテラ強化を柱に据え、その要として白羽の矢を立てたのがマヌだった。方針は明快だ。トップチームへの昇格者を増やし、売却益も最大化する。
マヌ・フェルナンデスはかつてマドリーの伝説的な総務部長フェルナンデス・トリゴを父に持ち、自身も1994年から2000年にかけてカンテラでプレー。グティやアルバロ・ベニートとロッカールームをともにし、トップチームの練習に参加したこともある。プレーと並行して学業に励み、コンピュータ工学の上級学位を取得。一時は競技の現場から離れたが、サッカーへの情熱は変わらなかった。指導者ライセンスでは各課程でトップの成績を収め、最終的に指導の道に専念した。ルイス・カンポス(現PSGスポーツアドバイザー)にモナコ行きを誘われたこともある。ヘタフェのカンテラを経て2017年にマドリーへ復帰し、フベニールCとBを率いてリーグ優勝を果たした後、2020年にラ・ファブリカの頂点へと上り詰めた。
✅ アルベロアとの黄金コンビ
マヌの就任と同時期に指導者キャリアをスタートさせたアルベロアとの連携が、今夏の成果の土台となった。2人の信頼関係のもと、フォルテア、ホアン・マルティネス、ニコ・パス、パラシオス、ゴンサロ、マヌエル・アンヘル、セストレロ、ティアゴ・ピタルチ、ハコボ・ラモン、ディエゴ・アグアドといった逸材が次々と発掘された。
✅ 止まらない「マヌ効果」
1月末にバルデベバスへやってきたアレクシス・シリアは、今やカスティージャのスターターとして定着し、モウリーニョのプレシーズンでも存在感を示した。マヌ就任から6年、その賭けはクラブに大きな配当をもたらした。