MARCA2026年7月30日 21:00
ケディラ、コーチとしてマドリーに帰還
スペイン紙『MARCA』が伝えたところによると、サミ・ケディラがレアル・マドリードに復帰しました。2010年に選手として加入してから16年後のことです。今回はホセ・モウリーニョ監督のコーチングスタッフの一員として、フィールドではなくベンチ側からマドリーを支える役割を担います。
ケディラをマドリーへ呼んだのは、2010年と同じくモウリーニョ監督でした。当時は中盤にバランスと戦術的知性をもたらすボランチとして招集されましたが、今回は選手とベンチをつなぐ架け橋として、新たなプロジェクトの構築を担います。
ケディラはマドリーでプレーした5シーズンで161試合に出場し、9ゴールを記録、7つのタイトルを獲得しました。モウリーニョ政権下では2011年コパ・デル・レイ、2011-12シーズンの100ポイント優勝、2012年スペイン・スーパーカップを制覇。その後カルロ・アンチェロッティ監督のもとで2014年のコパ・デル・レイと、12年ぶりのUEFAチャンピオンズリーグ優勝――通称「ラ・デシマ」も経験しました。
ラ・デシマの決勝にはドラマがありました。2013年11月のドイツ代表親善試合で右膝を重傷し、残りのシーズンどころかブラジルW杯も絶望視されましたが、驚異的な回復でリスボンの決勝にスタメン出場。クラブが12年追い求めたビッグイヤー獲得の瞬間をピッチの上で体感し、その数週間後にはW杯優勝も成し遂げました。
モウリーニョとの関係は深く、ケディラはかつてモウリーニョを「サッカーの父」と表現したことがあります。常に規律を守り、個人の輝きよりチームの機能を優先した姿勢が、モウリーニョの信頼を勝ち取っていました。2011年のコパ・デル・レイ決勝では、試合中に負傷することを承知のうえでプレーし続けたという逸話も残っています。
引退後のケディラはキャリア構築に余念がありませんでした。2021年に現役を退いた後、指導者ライセンスの取得に加え、UEFAが元国際プレーヤー向けに設けた「UEFAエグゼクティブ・マスター」プログラムを修了。クラブ経営、組織管理、リーダーシップ、コミュニケーション、意思決定など2年間にわたる課程で、2023年に卒業しました。
また、ESPN、DAZNなどでドイツサッカーの解説者としても活躍し、試合分析と言語化の技術を磨いてきました。さらに『MARCA』のインタビューでは「すべてのスポーツに特性と感情がある。テニス選手はコートで孤独に戦い、NFLでは一人のミスで戦術全体が崩れる。それぞれの哲学とメンタリティから学ぼうとしている」と語り、テニスやアメリカンフットボールなど他競技からの知見をサッカーに応用する探究心を示しています。
マドリー退団後は、ユヴェントスでセリエA5連覇と再びチャンピオンズリーグ決勝進出を経験し、ヘルタ・ベルリンで現役生活を終えました。異なるクラブ文化、異なる指導者のもとで過ごした経験が、コーチとしての視野を広げています。
『MARCA』は「2010年にモウリーニョがケディラをピッチ上での思想の体現者として招いたように、今回はベンチの上での体現者として呼び戻した」と表現しています。ベンチでの仕事はこれが初めてとなりますが、ケディラは選手としてマドリーの頂点に立ったこの場所で、コーチとしてほぼゼロから新たなキャリアを歩み始めます。