【コラム】エムバペの暗黒の夜、歴史的名勝負の記念日に今季初黒星
スペイン紙『AS』副編集長トマス・ロンセロのコラム。
✅ 今季初の躓き
モウリーニョのマドリーは開幕から絶好調だった。エムバペは量産体制でゴールを重ね、守備陣も安定していた。このまま何ヶ月も負けないのではという空気すらあった。しかし最初の本格的な遠征、ベティスサポーターで埋まったラ・カルトゥーハ・スタジアムで、初めてバナナの皮を踏んだ。
マヌエル・ペレグリーニのベティスへの敗戦は、純粋なフットボールの内容という意味では不当だと思う。だが、この2シーズン繰り返されてきた「混乱した夜に崩れる」というパターンの脆さと感情的な不安定さを映し出してもいる。フットボールはシンプルだ。決定機は決めなければならない。エムバペは説明のつかない形で前に立ちはだかる壁となった。前半だけでGKなしの状態から2度立て続けにシュートを放ちながら、いずれも相手DFに当てた。そのエムバペがPKまで外した。
モウリーニョは交代で流れを変えようとしたが届かなかった。エスピが鮮やかなゴールを決めたが、VARがその前のオフサイドを拾い取り消された。PK再キックの可能性にも縋りたいところだが、認められなかった。アルバロ・バジェスが神がかり的な出来を見せ、途中出場のパロットが血に刻まれたかのようにゴールを嗅ぎつけた。誰もこの結末を予想していなかった。
✅ 兄弟クラブの絆
フラン・ガルシアとセバージョスが加入したベティスは、マドリーから見ても親しみのあるクラブだ。歴史をたどれば両チームのユニフォームを着た選手は数えきれない。ラファエル・ゴルディージョ、セルヒオ・カナレス、ディエゴ・ジョレンテ、イスコ……長い列が続く。いつまでも続く縁だ。
✅ 歴史的記念日
試合が行われた9月4日は、1960年の同日にベルナベウで行われた伝説の一戦と重なる記念日だ。
マドリー対ペニャロール──バルベルデが幼少期を過ごしたウルグアイの名門──によるインターコンチネンタルカップ決勝。モンテビデオでの第1戦は0-0に終わり、ベルナベウで全てが決まる90分に、12万人以上がチャマルティンに詰めかけた。
プスカスが2ゴールを叩き込み、ディ・ステファノが続き、ヘントが伝説のチップシュートで止めを刺した。ウルグアイ人スペンサーが1点を返したが、5-1の圧勝。当時のマドリーは誰も近づけない皇帝だった。
今夜のラ・カルトゥーハ・スタジアムで、同じことは言えないが。
✅ ベティスの粋な計らい
試合前のピッチにスペイン国旗とセウタの旗が敷かれた。苦境に立つセウタへの連帯を示したベティスの姿勢に拍手を送りたい。リーガ全クラブに広がることを願う。