なぜマドリーファンはヴィニシウスに野次を飛ばすのか
英国スポーツメディア『The Athletic』が伝えた。
マドリーのファンがヴィニシウスに向けて野次や口笛を浴びせている状況について、モウリーニョ監督はポルトガルのことわざを引用してこう語った。「石を投げるのは、実を結ぶ木だけだ。ヴィニシウスはここ5、6年で何をしてきたか。チャンピオンズリーグを何度制し、何点を奪ったか。彼は多くの実を結ぶ木だ。人々は実を求めて石を投げる。彼の最高の姿を求めているのだ」。
ヴィニシウスはマドリーで382試合に出場し、129得点103アシストを記録している。2022年と2024年のチャンピオンズリーグ決勝でもゴールを決めた功労者だ。今夏にはアーセナルがクラブの給与体系を破ってでも獲得しようとし、オーナー陣、アンドレア・ベルタ強化部長、ミケル・アルテタ監督もそれを全面的に支持したと同メディアは報じている。しかしヴィニシウスは2032年までの契約延長を選択し、クラブ史上最高額クラスの報酬を受け取る選手の一人となった。
ここ2シーズン、ベルナベウでは野次が絶えない。ジネディーヌ・ジダン、クリスティアーノ・ロナウド、カリム・ベンゼマといったスターたちもかつて同様の洗礼を受けており、近年ではエムバペ、ベリンガム、バルベルデも口笛を浴びた。
ヴィニシウスとマドリーファンの関係は浮き沈みが激しい。2018年に18歳で加入した当初はそのスピードとドリブルで歓迎されたが、ジダン体制2年目は24試合ノーゴールという低迷期もあった。
転機は2021年夏のカルロ・アンチェロッティ就任だ。レバンテ戦での2得点を皮切りに覚醒し、2022年のチャンピオンズリーグ決勝ではリヴァプール相手に決勝点を刻んだ。2023-24シーズンはボルシア・ドルトムントを破るウェンブリー決勝を含め、24得点11アシストという自己最高の数字を残した。
一方で懸念材料もある。2024年のバロンドールではロドリに敗れ、2025年1月から5月にかけてリーガ16試合でわずか3得点と低迷した。シャビ・アロンソ前監督のもとではバルサ戦の途中交代に「チームを去る」と口走り、フロレンティーノ・ペレス会長が処分を下さなかったことは「特別扱い」と見られた。対戦相手を挑発する姿勢もマドリーの伝統的な品格の概念と合わないという見方が根強い。
アルバロ・アルベロア前監督体制では26試合16得点と復調したが、今季のモウリーニョ監督体制では7試合で1得点3アシストにとどまっている。エルチェ戦後にはSNSで「またゴールを奪いに行く」と発信した。同メディアは、ヴィニシウスが銀河系クラスの得点力を取り戻せば野次は収まるだろうが、それまでは口笛が続くとみている。